池田優子 × 雨晴「Melting」

 

 

冬と春が優しく混じり合うこの時季に
池田優子さんの雨晴での初個展を開催いたします。


Melting = 融解」をコンセプトに、春の訪れと共に溶けだした氷の表情や
生命が少しずつ花開く様を表現した作品が並びます。


池田さんの作品の中で静かにゆっくりと広がる春の情景をどうぞお愉しみください。



【会期】3月26日(金)-45日(月)  

※白金台雨晴は会期中も木、金、土、日営業です。


◇作家在廊について
この状況を受けまして作家の皆様の在廊は控えさせて頂きます。


◇オンライン販売について
会期中、もしくは会期終了後にオンラインショップに掲載いたします。 


氷が溶けるような

 

池田優子さんの雨晴での初個展。
この日が来るのを今か今かと待っていたのはきっと僕だけではないと思います。

 

思い起こせば2年前の暑い暑い、夏の日に池田さんと初めてお会いしました。
その時は、展覧会を雨晴で開催していただけるなんて思いもよりませんでしたがご縁をいただき今回この日を迎えることができて感謝の気持ちでいっぱいです。

 

展覧会のテーマは「Melting」。

 

池田さんに本展の象徴的な作品は?と伺うと
「氷が溶けだしてそのまま水になっていくような様を表現したうつわができました」とのお答えが返ってきました。

 

その作品を拝見したときに目に浮かんだのは、
冬と春が混じり合う時季に氷がとけて、その下から生命が静かに花開く情景。

 

池田さんのうつわの世界に浸る時間は本当に心地がよいのです。

 

今回、在廊いただけなくて僕もとっても寂しいので池田さんにあらためて色々と伺ってみました。
Q&A方式でお届けしますので皆様にもご一読頂ければ幸いです。

 

やっぱり海が好き

 

初めてお会いした時から、池田さんの作品から「海」を感じることが多かったのですが
あらためて池田さんがどのように作品を生み出しているのか、ご自身のくらしと作品作りの関係性について伺ってみました。

 

池田さんの作品のインスピレーションはどこからきているのでしょうか?

 

池田さん
「やはり海からはたくさんの感動を貰っています。主人と息子がサーフィンをするのが好きで、休日は海で過ごすことが多いです。
私は特に何もせず、貝殻を拾ったり砂粒を観察したり空を見上げたり。
実は今ちょうど海の近くにちいさな仕事場を整えている最中で、これからどんな影響を受けるのか私自身楽しみです」

 

ご自身のくらしと作品の関係性を教えてください。

 

池田さん
「関係性でいうとイコールです。くらしと作品作りが混在する中で日々を過ごしています。
つくるひとの精神がつくるものに現れることをたまにハッと思い出しては、襟を正したり、そのままでいいかと開き直ったり。やはりどこかいつも作品作りのことは頭にあります」

 

呑みながらご飯をつくるのが好き

 

知れば知るほどセンスの塊だなあと思う池田さん。
そして優しさの中にしなやかな強さを感じる池田さん。

そういえば池田さんの好きなことやものって何でしょう?

 

池田さん
「うーん、なにかな。。呑みながらご飯作るのとか好きです。
もちろん作陶するのも好きですが、作陶に関してはもう単なる好きでは片付けられない1段階上の感情、愛憎入り混じる好きになってしまいました」

 

泣いちゃうときもあった

 

窯出しをした時に泣いちゃう時もあったという乙女な池田さん。
新しい作品を生み出す時のお気持ちを。

 

池田さん
「泣いていた頃は、最後まで作品をコントロールしたかったんでしょうね。
テストを繰り返して一応自分の理想を狙って焼くんですが、そうそう思い通りにはいかない。
作陶はどうしても最後の焼成で手放す感覚があって、すこし子育てみたいなんです。

今はほんの少しだけ心が鍛えられて、失敗から学ぶ、受け入れる、固執しない、を心に。
こう言うとすこし人生の教訓みたいですが、実際知らず知らずに生きていく上で大事なことを作陶から学ばせて貰っているんだと感じます」

 

Melting

 

池田さんに作品のコンセプトを伺ったことをきっかけに早春を肌で感じたいと考え、独り山に行ってきました。
冬と春が交じり合っている山の中は、緊張と緩和の連続。
不安定な要素があるからこそ、この時季の自然は美しいのだなとあらためて感じることができました。

 

この季節を身近に感じさせてくれた作品 “Melting” について詳しく教えてください。

 

池田さん
「春いちばんの展示になりますので、やわらかくとけていくような空気感のものが作りたいと思いながらテストを繰り返していました。
それで生まれてきてくれたのが、融けていく氷の様な白い作品と、土に金属を練り込んで発色させた青い作品です。
メルティングホワイトは白い器ですが、汚れにくさにも尽力しました。
メルティングブルーは土に直接金属を練り込みながら成形しているので、どんな発色になるかうまくコントロールが出来ず、ひとつひとつ表情が異なります。
それもたのしんでいただけましたら嬉しいです」

 

雨晴では初個展

 

そんな気が全くしないのですが 笑
雨晴では初めての個展ですね。今回の展覧会に対する想いを教えていただけますでしょうか。

 

池田さん
「ほんとに。実は初めてなんですよね。雨晴の金子さんは、気さくに話せるリラックスした関係を築いてくださり、その時私が作りたいものを尊重してくださる。懐が深い方なので、個展でいきなり新しい作品を初出しするという、よくよく考えてみたら恐ろしい事をさせてもらえています。だからこそ良い展示にしたいという想いで作陶していました」

 

親愛なるみなさまへ

 

この情勢を考えると本当に残念ですが今回も在廊頂くことが叶いませんでした。
池田さんの展覧会を楽しみにされているみなさまにお伝えしたいことがあればお聞かせください。

 

池田さん
「器が纏うささやかな空気感のようなものが、どなたかの心に触れたなら、こんなに幸せなことはありません。よろしくお願いします」

 

 

池田さんの優しさとあたたかさが詰まった作品に触れることで、春を感じて頂ければ幸いです。

 

雨晴一同みなさまのご来店をお待ち申し上げております。

 



photo_Yuichiro_Ohmura

 

Online Exhibition  池田優子 × 雨晴 「Melting」 
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※完売となっているおしなものもございます。
ご了承くださいませ。