ハレの日のうつわ
~おせち編~
新年の訪れを華やかに祝うお正月。
おせちやその土地ならではの郷土料理をはじめ、ハレの日仕様の特別なお料理が並ぶ新年の食卓は、洗練された上質なうつわで丁寧に美しく彩りたいもの。
重箱や折敷を揃えた伝統的な和のスタイルや、華やかさを意識したモダンなスタイルなど、集う人やシチュエーション、装うお料理によってそのスタイルもさまざまです。
本コラムでは、「おせち料理」を中心に新年のお祝いの場面で雨晴がおすすめするうつわをご紹介いたします。
王道の漆の重箱から、お好みの料理や盛り付け方を自由にアレンジできる平皿を中心に、理想のお正月を叶えるスタイリングをご覧ください。
また、お雑煮をいれるお椀や新酒にあう酒器をご紹介するコラムも近日公開予定となっておりますので、どうぞお愉しみに。
慌ただしい師走の空気のなか行う新年の支度は、どこか義務的になってしまうもの。
ですが、そういう時にこそ好みのうつわや好みの料理で、皆様が描く理想のお正月を晴れやかに迎えていただけましたら幸いです。
おせちのうつわ ―重箱―
新年を迎えるにふさわしい凛とした佇まいが魅力の漆の重箱。
黒豆、伊達巻、栗きんとんなど、彩り豊かなおせち料理がふんだんに詰まったお重の蓋を開ける瞬間は、いつも胸が躍るものです。
雨晴で取り扱いのある重箱は、「漆器を日常使いしてほしい」という思いを込め、センダンやデイゴ、クスノキといった沖縄の木を用いて漆器づくりを行う「木漆工とけし」のセンダン重箱。
沖縄県名護市に工房を構え、制作に励む渡慶次弘幸さん、愛さんご夫妻。
木地は木地師の弘幸さんが、漆は塗師の愛さんが行い、扱いにくいとされる沖縄の木も「せっかくなら活かしたい」と、沖縄の自然に寄り添うように、ハレの日だけでなく日常でも使える漆器を制作されています。
とけしさんの重箱をはじめ、漆器は使い続けることで艶が増し、しっとりとした肌ざわりへと育っていくもの。
さらに、丈夫なのに軽くて使いやすいなど、実は普段使いにも最適なうつわ。
また、抗菌性や防腐性もあり、冷めてもお料理をおいしくいただけます。
重箱のおせちは、縁起物を詰めることで“幸せやめでたいことが重なるように”という願いを込める意味があり、重ねることで場所を取らずに保管できるという点からも重宝されてきました。
また、重箱そのものも出来合いのおかずをさっと詰めて一人分のランチをワンプレートのように用意したり、煮物や天ぷらを装って普段の食卓に並べたり。
あるいは、おやつを入れる菓子鉢として使うなど、お節以外の使い方もまさに一器多用。
ハレの日のうつわとしてはもちろん、ぜひ日常のうつわとしてもお愉しみください。
〈中央:木漆工とけし センダン 重箱7寸 2段 黒¥110,000(税込) 右奥:能作 ちろり 小¥11,000(税込) 能作 ぐい吞み¥3,960(税込) 岡晋吾白瓷彫文 八稜五寸皿¥8,250(税込)大黒屋 七角利久 縞黒檀 中¥11,000(税込) 二上 箸置 結晶(3pcs)¥5,379(税込) ハタノワタル 敷板 300×450 BK¥12,100(税込) 〉
おせちのうつわ ―平皿―
自分一人で、あるいはパートナーや友人と少人数で過ごすなど、お正月の過ごし方も個人の好みのスタイルで愉しむのが当たり前な今、お節のスタイルも「ワンプレートおせち」など「平皿」を使ったスタイリングが定番の一つ。
重箱が伝統的な日本らしいお正月のスタイルを叶える一方、少しカジュアルに、けれど、上質感も洗練された美しさも忘れないスタイリングを愉しめる「GAKU ceramics」のgenシャーレは、平皿スタイルのおせちにおすすめのうつわです。
富山県東岩瀬にアトリエをかまえる釋永岳さんの工藝ブランド「GAKU ceramics」は、自然への感謝の気持ちを持ちながら、富山で活躍する料理人の方々と想いを共有し、料理の舞台としてのうつわを日々制作されています。
今回ご紹介する釋永さんのgen シャーレは、焼き物でありながらレザーのようにも見える質感や深い黒の釉薬が醸し出すしっとりとした雰囲気が魅力の作品です。
上質な印象を与える洗練された佇まいは、和洋中問わずさまざまな料理と合わせることができ、色彩豊かなおせち料理もしっかりと映えて一層美しい印象に。
ご家庭で愉しむのはもちろん、新年のおもてなしの席にもおすすめ。
シャンパンやナチュラルワインと合わせて、華やかな装いをお愉しみください。
サイズは、Φ230mm,280mm,310mmの3種類。
食卓を囲む人数に合わせて、お好みものをものをお選びください。
〈gen シャーレ Φ230×H15¥18,700(税込) Φ280×H20¥22,000(税込) Φ310×H25¥22,000(税込) 〉
おせちのうつわ ―豆皿―
平皿のおせち料理は、オードブルのように一品一品盛り付けたり、あるいはアクセントとして豆皿と合わせるのもおすすめのスタイリングの一つ。
佐賀県有田の窯元「弥左エ門窯」は、時代の変遷、有田の発展とともに歩んできた、200年以上の歴史ある窯元です。
雨晴で取り扱いのあるこちらの邂逅シリーズの作品は、とろりとした釉薬の質感と機能的なフォルム、古陶のような懐かしい風合いを特徴としていますが、こちらは「陶芸家」岡晋吾さんが監修を務め、岡さんから譲り受けた陶石や釉薬のレシピをもとに、熟練の職人たちが制作を手掛けています。
弥左エ門窯の豆鉢や小皿は、形のラインナップが充実しているのも魅力の一つ。
選ぶのも使うのも、愉しみがとても広がるうつわです。
シンプルなもの、愛らしいものなど、お好みのものをさまざまに組み合わせて、華やかなおせち料理をどうぞお愉しみください。
〈奥: 楕円豆鉢 古白磁¥1,320(税込) 角豆鉢 古白磁¥1,320(税込) 手前: 四稜小皿 古白磁¥1,430(税込) 木甲豆鉢 古白磁¥1,320(税込) 菊型小皿 古白磁¥1,430(税込) 〉
次回のコラムでは、お正月の定番「お雑煮」を装う漆器のうつわをご紹介予定です。
どうぞお愉しみに。
Text:Maiko Mitani(AMAHARE)
Photo:Yumiko Obara(AMAHARE)