ハレの日のうつわ
~酒器・お雑煮編~

雨晴 お正月

新年の訪れを華やかに祝うお正月。
おせちやその土地ならではの郷土料理をはじめ、ハレの日仕様の特別なお料理が並ぶ新年の食卓は、洗練された上質なうつわで丁寧に美しく彩りたいもの。

前回の「ハレの日うつわ~おせち編~」に引き続き、本コラムでは新年におすすめの「日本酒」に合う酒器をご紹介。

一年の始まり、ハレの日の食卓には自然とお酒が並ぶものですが、なかでも新年に呑む日本酒は「厄を払い、福を呼ぶ」という意味がある縁起物。

お正月の静謐な雰囲気にもそっと寄り添うシックな佇まいのものや、麗らかな新春の訪れを感じさせる華やかなガラスの酒器をどうぞご覧ください。

また、お正月の定番「お雑煮」に合うお椀として、伝統的な日本美とモダンさを兼ね備えた漆器のお椀もご紹介いたします。

一際澄んだ空気が流れているように感じる新年の朝は、凛と美しいお椀でいただく一杯のお雑煮で、素敵なお正月を迎えてみては。

本年も残すところあとわずか。
来る新年を豊かに彩る雨晴おすすめのうつわをお愉しみいただけますと幸いです。

雨晴 お正月 酒器お酒のうつわ ―盃―

平たく口元に広がりがある形の酒器を指す「盃」。

すっ、と下から上へと広がっていく色気あるラインが情緒的な「李荘窯」のマンガン釉の盃は、雨晴が特別に制作をお願いしているオリジナルのうつわの一つ。

1930年、有田焼の陶祖・李参平の住居跡に開窯した「李荘窯」。

銀彩、錆巻、白磁など、4代目・寺内信二さんの卓越した技術と独創的な感性によってつくられる、機能的かつモダンなデザインは、時代の潮流に左右されない美しさがあります。

近年は有田焼発祥の礎とされる泉山陶石を磁器原料とするうつわを手掛け、素材本来の魅力と前衛的な思考を織り交ぜて作陶を続ける寺内さんの真摯な思いが込められた作品には、力強い気品を感じるほど。

雨晴 お正月 酒器

素材に磁器を用いながら、見た目・質感ともにしっとりとしたあたたかみを感じる美しい黒。

すべての工程を手作りで制作し、シックな佇まいの中にもやわらかさのある風合いとなっています。

雨晴 お正月 酒器

ハレの日のおめでたい一献のお供に、ぜひお手に取ってみては。

〈池田優子 急須 片口 銀彩¥26,400(税込) 李荘窯 盃 マンガン釉¥11,000(税込)  Shimoo Design 浮様 THIN 黒 鎹¥13,200(税込) 〉


≫李荘窯の作品はこちらから

雨晴 正月 酒器お酒のうつわ ―猪口―

一、二口でお酒を飲み干せるほどの大きさに、深さのある形の「猪口」。

大阪府和泉市に工房がある、ガラス作家・辻野剛さんが立ち上げたガラスブランド「fresco」が手掛けるガラスの酒器は、やわらかで品のある佇まいが魅力のもの。

新春の訪れを感じさせる華やかなブラウンの猪口は、「1.9m」というfrescoが手掛けるラインナップの作品の一つ。

「1.9m」は京都龍安寺の土塀の高さに由来しているものですが、龍安寺の土塀は、縁台に座り真っ直ぐ視線を送ると、ちょうどその高さに壁と外側の景色の境目が来るように設計されています。

それは、庭そのものを「器」と捉え、周りの環境とその内側との関係性に配慮した日本人の美意識を感じさせる景色。
この美しい日本人の感性を、器と器を使う空間との関係性に映したものが「1.9m」の作品。

雨晴 お正月 酒器

外のあたたかみのあるブラウンと内側の白が織りなす2面のガラスの景色が、お正月の食卓を華やかに彩ります。

湖の水面のように、ガラスの中でお酒が揺らぐ様子はなんとも美しく神秘的なもの。

ぜひ同ラインナップの片口と合わせて、お愉しみください。

〈fresco 1.9m 酒器 br¥19,800(税込) 1.9m 猪口 br¥8,250(税込) ハタノワタル敷板 270×180 特¥6,820(税込) 〉

≫frescoの作品はこちらから

雨晴 お正月 漆器お雑煮のうつわ ―漆器―

石川県の伝統工芸・山中漆器のなかで、最も古い歴史を持つ「喜八工房」。

薄手で使いやすいという質の高い木地を生産できる山中漆器の特徴を活かし、漆器界の俊才、酢谷喜輝さんの卓越したデザイン力と優れた技巧を有す職人の手によって、くらしを彩る漆器の数々を生み出しています。

今回ご紹介する「喜八工房」の欅の糸筋椀(大)は、餅や野菜がふんだんに入った具だくさんのお雑煮もたっぷりと入れられる大きさ。

ただ、片手でもしっかりと持てるほどの軽さで、何より磁器や陶器のうつわに比べて熱伝導が低い漆器。

しっとりと手に馴染む質感に加え、冷めないうちにあたたかいものをおいしくいただけるその機能美は、手にする喜びを味わえるもの。

雨晴 お正月 漆器

また、伝統工芸たる所以ともいえる気品ある佇まいと並んで注目したいのが、内外に挽かれた筋の意匠。

職人の手によって生み出される繊細で美しいその景色は、表面に見られる欅の木目の表情と相まって、洗練されたモダンさを感じさせます。

色のラインナップは、光沢を抑えた古朱と黒の2つ。
お好きなものをお選びください。

〈喜八工房 欅 糸筋椀(大) 古朱/黒¥12,100(税込) 〉

≫喜八工房の作品はこちらから

 

新年のお祝いの場面に雨晴がおすすめするうつわをご紹介した「ハレの日うつわ~おせち編~」と「ハレの日うつわ~酒器・お雑煮編~」。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

来る2024年。
皆様が豊かに、そして健やかに過ごせる一年となりますように。

美しいうつわとおいしいお料理で、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

Text/Maiko Mitani(AMAHARE)
Photo/Yumiko Obara(AMAHARE)